気がつけば3月でした。
今年の2月は東京ドームでのテーブルウェアから始まり、
金沢美術工芸大学で宮城県から来られた職人さんや作家さんと
講演させていただいたり、金沢仏壇の青年部での展示会があったりと
沢山の貴重な体験と勉強をさせていただきました。
上の写真は東京ドームで開催されたテーブルウェアでの北陸三県のブースの様子です。
沢山のお客様や関係者の方々との会話の中で、貴重なご意見とご感想をきかせていただき、
非常に勉強になりました。
金沢美術工芸大学で行われた、宮城県から3名、石川県から僕を含めた3名での講演も、
普段お会いする機会の少ない方々との交流を通して、様々な点に気づかされました。
箪笥や漆器、職人と作家など、工芸の形や見せ方は違えども、志すものは皆同じ。
課題は多くありますが、日本の伝統工芸の発展と継承を願うばかりです。
交流を通じて、自身の工芸やその継承に対する考え方を改めて考えさせられました。
大変良い影響をいただきました。その場におられた皆様に感謝するばかりです。
青年部での展示会は、アテンドとしての参加はできませんでしたが、
より多くの方々に金沢仏壇を身近に感じていただけたらと想い、活動を続けています。
今月いただいた沢山のご意見や自身で感じた多くの点、
まだそれらを整理できていない状態ですが、よくよく考えたうえで
今後の自身の活動に活かして参ります。
今年の2月は大変でしたが、とても実りある時間を過ごさせていただきました。
皆様に感謝。
工場では、お仏壇の修復作業を順次行なっております。
お仏壇一つ一つを丁寧に分解し、細部まで綺麗に洗い、修復いたします。
本漆と金沢の金箔を使用し、お仏壇を当時の姿に戻します。
画像は分解して洗いを行い、修復箇所を確認するため
部品ごとに並べているところです。
この後、修復箇所と方法によって各職人に振り分けます。
欠けや割れ、擦れがあるものは、補修と塗りを行う職人へ、
蒔絵修理などは専門の職人へなど、社内のそれぞれの職人のもとへ移動し
流れ作業で修復いたします。
お仏壇は各家々にとって、とても大切なものです。
見た目だけの修復は行わず、
これからもずっと、安心してご使用いただけるお仏壇にした後に
お納めさせていただきます。
話は変わりますが、
先日久しぶりに体験教室で市内の小学校に行ってきました。
沢山の生徒の皆さんに囲まれて、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。
本当にありがとうございました。
体験を通して、仏壇に関して様々なご意見と発見がありました。
生徒さん方の仏壇に対しての印象や考え、必要性など。
僕は、皆さんに必要とされる仏壇を作って行きたいと考えています。
時代に合わせた仏壇、欲しいと思われる仏壇を目指して
これからも精進して参ります。
どうぞ本年も宜しくお願いいたします。
今年も徐々に肌寒くなって参りました。
前回のブログから更新が遅れること3ヶ月と10日。
その頃の作業環境は、
平均気温が35度で無風状態であることから、
当社初の空調服を導入したのですが、
今では随分と遠い思い出の様に感じます。
内陣工事は前回の後、漆塗りの工程を終え、
床の拭き漆へと進み、箔押しを行い仕上げとなりました。
拭き漆というのは、読んで字の如く、
漆を塗っては拭き取るという作業を繰り返す、
といった工程を指します。
今回は、できる限り黒く仕上げたいとのご依頼でしたので、
黒弁柄で色つけをした後、拭き漆を行いました。
それから金箔押しを行い、荘厳して完成です。
金箔押しの作業にも金と壁面を接着するために漆を使います。
そのため気温や湿度に対して非常に気を使います。
乾燥が早すぎても遅すぎても、良い仕上がりにならないからです。
当時の現場の気温はとても変化が激しく、天気により10度近く差がありました。
そのため、幾度となくテストを行いながらの作業となっていたと
記憶しております。
そして完成がこちら。
お寺のお仕事というものは、毎回勝手が違います。
ご依頼内容はもちろんですが、内陣の作りも異なりますので、
使用する道具が変わります。
加えて気温や湿度の変化も、お寺により驚くほど違いますので、
漆も硬化時間、粘度が変わります。
毎回、漆や作業効率について、多くの事に気付かされます。
お寺の内陣もそうですが、仏壇の製造や修復は、
ご依頼いただいたお客様の、そして自分自身の
次の世代に残る仕事ですので、常に最善を尽くします。
長い年月を形として残るお仕事であることを自覚して、
今後も一層精進して参ります。
今年は御内陣のお仕事に恵まれ、
ほぼ工場にいない、という珍しい一年になりそうです。
ブログの更新は遅れ気味ですが、
出来る限り、頻度を上げて書いていこうと思います。
というわけで、今回は御内陣工事の様子を
ご紹介させていただきます。
まずは下の写真。
今年の6月頃までさかのぼりますが
お寺の「後門柱」に「布着せ」を行ったところです。

「後門柱」とは、御内陣中央、ご本尊が収まります位置の
両脇にある丸柱です。
そして「布着せ」とは、布を糊漆で貼り付けることを指し、
主に補強や木地の痩せを防ぐことを目的に行われる工程です。
それらを施し、次の工程である「下地付け」に備えます。
そして「下地付け」。
「下地付け」とは、最終的な塗りに堅牢性を与えることを
目的として行う工程です。
「地の粉」や「砥の粉」という土の粉を、
水と漆を合わせて下地を作り、繰り返し施工面に付けていきます。
完成時には、目に触れることのない下地作業ですが、
製品の寿命を決める、最も重要な工程です。
これらが終わって、仕上げに「塗り」が行われます。
塗師の仕事と連想されますと、刷毛を持って
漆を塗っている姿を連想されると思いますが、
大半は「下地」と様々な「研ぎ」の作業で占めています。
刷毛を持っている時間は、比較的少ないです。
、、、以降次回に続きます。